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インプラント治療は多くの人にとって効果的な解決策ですが、残念ながらすべての方に適しているわけではありません。
骨の厚みが不足している方、多くの虫歯や歯周病になってしまっている方、歯並びが悪い方、重大な全身疾患を持つ方、若年者、喫煙者などの条件を持つ患者様にはインプラントの治療が困難な場合があります。しかし、上記の課題に適切に対処することで、インプラント治療の可能性を広げることができます。
インプラント治療は、欠損した歯を補うために選ばれることが多い治療です。自費での治療が伴いますが、欠損部分1本単位で手術で行えたり、審美性が高いなどのメリットがあります。
しかし、インプラントが適しているわけではない方もいらっしゃいます。以下のような条件をお持ちの方は、インプラント治療が困難な場合があります。
これらの状況では、インプラント治療を行うことが難しいかもしれませんが、適切な対策をとることで治療の道が開けることもあります。それぞれの問題にどのように対応し、治療可能となるかを以下に説明します。
インプラント治療では、顎の骨に人工の歯根を固定します。このため、骨に十分な厚みがないと、治療を進めることができません。
特に、前歯は奥歯よりも骨が薄いため、少量の骨の減少でも影響が大きく、インプラントの設置が難しくなります。
当院では、骨造成という方法で骨を増やす治療を行います。
元々骨が薄い箇所や、骨が減ってしまった箇所に新たな骨を足すことができます。
骨造成は技術的に高度な治療であり、すべての歯科医院で対応可能なわけではありません。そのため、骨が不足していることが原因でインプラント治療を断られる方も少なくありませんが、当院では骨造成治療を行うことで、インプラントが可能となるケースを増やしています。
虫歯や歯周病がある場合、インプラント治療には特に注意が必要です。口腔内の問題があると、インプラントを埋める際に感染のリスクが高まり、人工歯根が顎の骨にしっかりと結合することが難しくなることがあります。
感染したインプラントはうまく機能せず、治療が失敗に終わることがあるのです。さらに、治療が成功しても、歯周病と似た状態の「インプラント周囲炎」を発症するリスクがあります。これは、歯周病と同じように口内の衛生状態が影響しています。
したがって、インプラント治療を始める前には、虫歯や歯周病の治療を行い、口腔内を清潔に保つことが非常に重要です。しっかり治療しておくことで、インプラントの成功率を高めることができます。
また、歯周病が原因で顎の骨が失われている場合は、骨造成などの治療が必要になることもあります。
インプラント治療を行う際に、歯並びが整っていないと、人工歯根やその上部構造が適正な位置に設置できないことがあります。このような場合、インプラントの設置が困難になることがあります。
また、インプラントが可能であっても、不正咬合が原因で噛み合わせが悪くなり、それが上部構造の破損や人工歯根の脱落を招く恐れがあります。さらに、インプラントが適切でない位置にあると、口腔内を清潔に保つのが難しくなり、歯垢や歯石が蓄積しやすくなるため、インプラント周囲炎を引き起こす可能性も高まります。
特に前歯の場合、インプラントを行う際はその大きさが問題となることがあります。人工歯根の設置には、その両サイドに少なくとも1.5mmのスペースが必要です。一般的な人工歯根のサイズは約4mmであり、合計7mmのスペースが必要になりますが、多くの前歯は6mm程度の大きさしかないため、インプラントの設置が難しい場合があります。
解決策として、インプラント治療を行う前に矯正治療を行い、歯並びを整えた方がいい場合もあります。整えることで、インプラントの設置がスムーズに行えるようになります。ただし、矯正治療とインプラント治療は両方とも高額な自費治療であるため、十分な検討が必要です。
糖尿病や腎疾患などの全身性の疾患をお持ちの方にとって、インプラント治療は難しくなります。
糖尿病の方で、血糖値の管理が難しい場合は、免疫機能が低下していることが多く、その結果、インプラントの手術や治癒過程でトラブルが発生しやすくなります。特に、インプラント周囲炎のリスクが高まることが考えられます。
また、腎疾患をお持ちの方は、免疫力の低下が一般的で、人工透析中の患者様では、手術時の細菌感染が他の臓器に影響を及ぼすこともあります。さらに、腎疾患により骨が脆くなっている場合が多く、インプラント治療がより難しくなることがあります。
インプラントの治療方針は、患者様のかかりつけ医と連携を取りながら進めることが大切です。歯科医師のみで治療を進めてしまうと大きなリスクを伴う可能性があります。
若い患者様にはインプラント治療をあまりお勧めしておりません。特に未成年の方の場合、顎の成長が完了していない可能性が高いので治療が難しくなります。
インプラントは顎に固定される人工の歯根であり、顎の成長や歯の動きに合わせて調整することはできません。そのため、成長期の顎にインプラントを埋め込むと、将来的に位置のズレや他の歯への影響が生じるリスクがあります。
治療の対策として、顎が成長しきるまでは他の方法で治療を進めます。一時的に入れ歯を使用し、顎の成長が完了してからインプラントに切り替える方法などを行います。
喫煙はインプラント治療において大きな障害となります。
喫煙によって、顎の骨と人工歯根の結合に必要な治癒の過程が十分に行われない可能性があります。
喫煙による一酸化炭素の影響で血流が悪化し、必要な酸素や栄養が傷口に届かなくなるためです。さらに、ニコチンが血管を収縮させる作用もあり、人工歯根が顎の骨にしっかりと結合せず、インプラントの固定が不十分になります。
また、喫煙は歯周病のリスクも高めるため、インプラント治療後に歯周病やインプラント周囲炎になる可能性が高まります。
このため、インプラント治療を考えている喫煙者の方々には、治療期間中の完全禁煙を強くお勧めしています。さらに治療が成功した後も、可能な限り禁煙を続けるか、少なくとも喫煙の量を大幅に減らすことが重要です。
インプラント治療は全ての人に適用できるわけではなく、健康状態や生活習慣によっては治療ができない可能性もあります。
しかし、適切な処置を行えばインプラント治療を進めることができるケースもあるので、インプラント治療をお考えの方は、四条・烏丸にある歯医者【東洞院はやし歯科】までお気軽にお越しください。